忘れられた花園の秘密

第一章：花園の来訪者

エピソード1: 忘れ去られた場所

エリシアは、ふとした好奇心から森の奥深くに足を踏み入れることにした。祖母から聞かされた伝説の「忘れられた花園」。子供の頃から幾度となくその話を聞いていたが、それはまるで夢のように儚い話だった。

森の中を進むと、やがて美しい花々が咲き誇る静かな花園に辿り着いた。紫と黄色の花が優雅に揺れ、風にのって甘い香りが漂うその光景に、彼女は息を呑んだ。ここが伝説の花園なのだろうか？しかし、どこか懐かしさを感じるのに、不安が胸をよぎる。

エピソード2: 謎めいた少女

花園の奥に進むと、そこには一人の少女が座っていた。金色の髪を持つその美しい少女は、花々に囲まれた中で静かに微笑んでいた。エリシアは恐る恐る近づき、挨拶をしたが、少女はただ微笑むだけで一言も発しなかった。

彼女の紫色の瞳は、どこか遠い場所を見ているようで、エリシアの問いには応じない。しかし、エリシアはその場を離れることができず、気がつけば少女と共に過ごす時間が心地よく感じられた。

エピソード3: 失われた記憶

少女と過ごす時間が増えるにつれ、エリシアの記憶に妙な違和感が生じ始めた。何か大切なことを忘れている気がするが、何を忘れているのか思い出せない。やがて少女が「ここに留まると、全てを忘れてしまう」と告げた。

彼女の言葉はエリシアの胸に深く響いたが、それでもなぜか花園から離れる決心がつかない。エリシアは自分が何を忘れているのかを探るために、少女との時間をさらに深めていく。

第二章：花園の謎

エピソード1: 秘密の語り手

ある夜、エリシアは花園の中心にある大きな樹の下で、紫色の瞳を持つ少女と語り合った。少女は少しずつ言葉を話し始め、かつてこの花園が「想い出」を守るために作られた場所だと語った。

ここに来た者は、過去の記憶を引き換えに幸福なひとときを得られるが、やがてその記憶を永遠に失う運命にあるのだという。エリシアは驚き、なぜ自分がこの場所に引き寄せられたのか、その理由を知りたいと感じるようになった。

エピソード2: 記憶の欠片

エリシアは少女の言葉を胸に、自分の記憶を取り戻そうと決意する。しかし、どれだけ花園を歩いても、思い出せるのは断片的なイメージだけ。誰かと手を繋いで歩いた温かい記憶や、家族の顔、そして愛しい人の微笑み…。その断片をつなぎ合わせるように花園を彷徨う彼女は、少女の助けを借りながら少しずつ自分の過去に迫っていく。

だが、エリシアが真実に近づくたびに、花園の花々は少しずつ色あせていくのだった。

エピソード3: 選択の時

やがて、エリシアは自分がこの花園に足を踏み入れた理由が、亡くなった恋人の記憶を追い求めていたためだと気づく。彼を忘れたくない、でも、幸せな思い出と共にここで安らかに過ごしたいという葛藤が彼女を苦しめた。

しかし少女は言った。「ここに留まれば彼の記憶も失われるでしょう。それでもあなたはここにいたいですか？」エリシアは静かにうなずき、決断のときを迎える。

第三章：別れの花

エピソード1: 最期の約束

エリシアは最後にもう一度恋人との記憶に浸りたいと願った。少女は彼女の手を取り、かつての彼と過ごした美しい思い出の断片を見せてくれた。二人が出会った日、初めて手を繋いだ日、そして別れの時…。エリシアの瞳からは涙が溢れ、彼の顔をはっきりと思い出せなくなる前に、心の中で静かに彼に別れを告げた。

エピソード2: 花園の消失

エリシアが決断を下した瞬間、花園全体がまるで霧のように薄れ始めた。紫と黄色の花々が一輪ずつ消えていき、やがて花園は無に還っていった。彼女がそこにいたこと、少女と過ごした日々、全てがまるで幻だったかのように消え去り、エリシアもまたその記憶を手放すことになった。

しかし、その選択に後悔はなかった。彼女は心からの安らぎと共に花園を去った。

エピローグ: 新たな始まり

エリシアが目を覚ますと、見知らぬ森の中に一人佇んでいた。彼女は自分がここにどうしていたのか、全てを忘れてしまったが、不思議と心に満たされた感覚が残っていた。

歩き出す彼女の背後では、まるで花園が彼女の心に刻まれたかのように、わずかな香りが漂っていた。そして、新しい人生の第一歩を踏み出し、エリシアは穏やかな微笑みを浮かべて森を抜けた。