砂時計の巫女

第一章：目覚め

エピソード1: 記憶の欠片

小さな孤島に立つ石造りの神殿で、少女は目を覚ました。彼女の名はリリス。自分の名前以外、何も思い出せない。しかし、頭に何かが響く。 旋律のような呪文のようなそれは、彼女の脳裏で淡く輝く砂時計のイメージと共に流れ続けている。目を開くと、古代の模様が彫られた壁と天井が目に入り、 その静謐な美しさに息を呑んだ。神殿には重苦しい静寂が漂っており、外の世界の音さえも遮断されているかのようだ。

エピソード2: 神殿の秘密

神殿の中央には巨大な砂時計が置かれていた。砂は永遠に流れ続けているように見えるが、どこからも補充される気配はない。 リリスは自然にその砂時計に引き寄せられる。すると、突然彼女の目の前に「砂の巫女」と刻まれた石碑が現れ、 リリスの手元には不思議な光を放つ鍵が現れた。この鍵が、神殿に隠された秘密と繋がっていることを感じた彼女は、 意を決して奥へと進んでいく。

エピソード3: 封印されし力

奥の部屋に入ると、さらに複雑な模様で埋め尽くされた石壁が立ちはだかる。その中央には、リリス自身と同じ姿をした彫像が鎮座している。 「私の…記憶？」リリスは不安と興奮を抱きつつ、鍵を彫像の胸元にかざす。すると、封印が解かれ、彼女の中に眠る力が覚醒し始める。 「これが…私の役目？」リリスは次第に自分が「時間」を操る力を持つ巫女であることを理解し始めた。

第二章：砂の呪縛

エピソード1: 運命の再会

その夜、リリスは夢を見た。夢の中で出会ったのは、彼女に似た顔立ちをした青年、アレンだった。 彼は「砂の使者」と呼ばれ、時間を守護する者としてリリスを助けるために召喚されたのだという。 しかし、アレンもまた過去の記憶を失っていた。二人は運命的に惹かれ合い、共に記憶を取り戻し、 神殿の謎を解くための旅に出ることを誓う。

エピソード2: 禁忌の過去

旅の途中、リリスとアレンは砂時計が巻き戻される異常現象に直面する。それは、この地に古代から封印されてきた 「時の断罪者」が再び目覚めたことを示す兆候だった。アレンは自分の体内に封印された断罪者の一部を感じ取り、 恐れを抱くが、リリスは彼を信じ、共にこの呪いを解くために立ち向かう決意を固める。

エピソード3: 迷宮への挑戦

二人は神殿の最奥にある「時間の迷宮」に到達する。そこは無数の歯車と砂の流れる音が響き渡る異次元の空間だった。 迷宮の奥に行くほど時間の流れが狂い、二人は記憶の断片を目の当たりにする。そこで、リリスは自分が時間を操る 「砂の巫女」としてこの地に封じられたことを知り、アレンが彼女の護衛として共に封印されたことを思い出す。

第三章：時の終焉

エピソード1: 巫女の選択

迷宮の最深部で、リリスとアレンは断罪者と対峙する。断罪者は人間の欲望によって生まれた存在であり、 時間を支配し、全てを滅ぼそうとする力を持っていた。リリスはその力を封印するために、もう一度自らの記憶と力を 犠牲にしなければならないと告げられる。アレンは反対するが、リリスは覚悟を決めて進み出る。

エピソード2: 永遠の砂時計

断罪者との最終決戦の中、リリスは「砂の巫女」の力を限界まで引き出し、時間を停止させる。アレンもまた自らの力を使い果たし、 二人の姿が消えていく。しかし、その瞬間、リリスの涙が永遠の砂時計へと流れ込み、断罪者の力を封じ込める。 二人の犠牲により、世界は再び平穏を取り戻すのだった。

エピローグ: 時を超えた絆

神殿の廃墟の中、微かに流れる砂時計の音だけが響く。数年後、神殿に訪れた一人の少年が、砂の中に沈む小さな石を見つける。 それはリリスとアレンの魂が宿る「絆の石」だった。その石は永遠に失われることなく、二人の物語がこの地に語り継がれる 象徴となった。少年はその石を大切に胸に抱き、再び旅立っていく。